昨年度、ゆりあファミリークリニックで施行したマンモグラフィー受診者数、発見した乳がん患者数、
および紹介先について おしらせします。
平成23年1月から12月末まで当院でマンモグラフィーを受けられた方は、のべ1024名でした。
(平成22年度は、のべ666名です。)
平成22年度に比べ、マンモグラフィー受診者数は1.5倍に増え、1000人を越えました。
ゆりあファミリークリニックでのマンモグラフィー受診者が増えている理由として
1)当院は昨年9月にマンモグラフィー検診施設画像認定を取得しました。
(葛飾区内では保健所、東部地域病院についで3番目、個人クリニックでは初めてです。)
2)医師、女性放射線技師全員が、マンモグラフィー検診認定を受けております。
3)画像検査結果は、検査を受けた当日に御説明しております。
4)当院で乳がんと診断され、紹介先で治療を行い、現在元気に社会生活を行っている
患者さまからの紹介患者さまが増えています。
以上のようなことから、マンモグラフィー受診者数が伸びていると考えております。
次に昨年度、当院で発見した乳がん患者数です。
昨年度、当院で発見した乳がん患者数は総勢28名でした。
(28名全員、当院でマンモグラフィーと乳腺超音波を行っております。)
内訳は以下のようになります。
早期乳がん 12名
進行乳がん 14名
両側乳がん 2名(早期乳がんと進行乳がん1名、両側進行乳がん1名)
それでは乳がんと診断された方は、どういった経緯で当院へいらしたのでしょうか。
① 自分でしこりに気がついた。・・・(自)
② 健診で指摘された・・・(健)
③ 他院からの紹介・・・(紹)
④ 痛みがあった・・・(痛)
以上4つのグループに分け、早期乳がん、進行乳がん別に検討してみました。
早期乳がん 12名の内訳です。
(自) 7名 58%
(健、健+紹) 5名 42%
進行乳がん、両側乳がん 16名の内訳です。
(自、自+健) 13名 82%
(健) 1名 6%
(紹) 1名 6%
(痛) 1名 6%
このようにグループを分けて分析してみますと
進行乳がんの場合、
健診で見つかった方は1名だけです。
残りの15名 94%の方は、自分でしこりに気がついています。
(痛みのある方は炎症性乳がんでした。)
早期乳がんの場合、
健診で見つかった方は5名 42%と4割をこえます。
また、自分でしこりに気づいた方が7名 58%もいたことは、意外な結果です。
この意外な結果の理由は昨年キャンディーズの田中好子さんが亡くなられたことに関係しております。
田中好子さんが乳がんで亡くなられたという報道があった後、自分で乳房触診をされ、
多くのかたが、しこりがあるのではないか、あるいはしこりを見つけたと当院を受診されました。
このしこりを見つけた方の中で3名の方が早期乳がんだったのです。
(進行乳がんの方が1名いました)
以上の結果から乳がん、特に早期乳がんの発見のためには
① 1年に1回は、乳がん検診をうけてください。
乳がん検診は視触診検査だけでは意味はないので、必ず画像検診を受けてください。
(乳腺超音波、マンモグラフィーそれぞれ見方が違うので、できれば両者併用が望ましいと思います。)
② 月に1回、毎月乳房の自己検診、セルフチェックを行ってください。
この2点がとても重要であると感じております。
最後に当院で見つかった乳がん患者さまの紹介先についてお知らせします。
(五十音順)
(今年見つかった方で1名を東京大学医学部付属病院乳腺外科にご紹介しております。)
ゆりあファミリークリニックでは検査・手術・入院が必要な患者さまには、
近郊では東京慈恵会医科大学 葛飾医療センターをはじめ、
乳がん診療における理想的な医療連携システムの構築を目指すTokyo Breast Consortium(TBC)を
通し、各地域の基幹病院等へ責任を持って紹介を行っております。
また、大塚ブレストケアクリニック(足立区・竹の塚)と診診連携を結んでおります。
当院が開業を始めた平成21年は女性の20人に一人が乳がんに罹患すると言われていましたが、
最近では16人に一人とも言われ始めております。
それだけ現代社会において、乳がんになる女性が増えていることになります。
しかし、あまり怖がらないでください。
なぜなら、乳がんは自分で発見できる唯一のがんであり、ほかのがんとは異なり、
初期に発見することができれば、非常に高い治療効果が期待されるからです。
また、しこり、痛み、分泌物などの症状がある方も、その症状が乳がんによるものとは限りません。
良性の乳腺線維腺腫や乳腺症などの場合もありますので、どうぞお早めの受診で安心を得てください。
ゆりあファミリークリニック 院長 徳原智庸 (平成24年5月11日)